少子高齢化や核家族化に伴い、全国で放置された「空き家」が増加し、社会問題化していることをご存知でしょうか?
2023年12月13日に施行された「改正空家対策推進特措法」では、管理状態が悪い空き家を減らすため施策が強化されており、所有不動産を「空き家」のまま放置しておくことのリスクが大きくなっています。
今回は、誰も住まなくなった「空き家」をすぐに売却すべき理由について、詳しく見ていきましょう。
空家対策推進特措法および改正空家対策推進特措法について
2014年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策推進特措法)」は、空家等の所有者や管理者の責務として、空家等の適切な管理に努めなければならないことを定めた法律です。
管理不全が原因で周囲に著しい影響を及ぼしている特定空家等に対しては、行政が「助言」や「指導」、「勧告」、「命令」、「代執行」等の行政措置を行うことができることなどが定められています。
また、市区町村に、空家の持ち主について、固定資産税の納税記録を照会して、立ち入り調査をすることを認め、倒壊の恐れがある等の「特定空家」については撤去や修繕を命じ、行政代執行を可能にすることを規定しています。
さらに、2023年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(改正空家対策推進特措法)」では、空家等の活用拡大や周囲に著しい悪影響を与える「特定空家」化の未然防止などが定められています。
周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家」だけでなく、放置すれば特定空家となるおそれのある「管理不全空家」についても市区町村からの指導の対象となり、従わずに勧告を受けると、固定資産税等の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなるなど、罰則が強化されています。
「特定空家」「管理不全空家」とは
長期間にわたって電気・水道・ガスといった生活インフラが止まっている状態であっても、きちんと建物が管理されていれば問題はありませんが、管理も手入れもされず長い間放置された空き家は傷みが激しくなり、荒れ果てた状態となってしまいます。このような、空き家は、近隣住民にとって衛生面や安全面においても悪影響を及ぼし迷惑でしかありません。
2015年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策推進特措法)」では、下記のような建物を「特定空家」と認定し、所有者に改善を求められるようになりました。
特定空家の定義
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
建物だけでなく門や塀、立木、看板なども対象としています。庭木が荒れ放題となっている場合なども注意しましょう。
2023年施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(改正空家対策推進特措法)」では、放置すれば特定空家となるおそれのある「管理不全空家」についても対策が強化されています。
「管理不全空家」とは、建物が一部損壊していたり、雑草やゴミが放置されている状態の空き家のことを指し、行政が指定します。全国で少なくとも24万戸が該当するとされており、対策が急がれています。
「特定空家」「管理不全空家」に指定されるデメリット
「特定空家」に指定されると「固定資産税の増額」「過料の課徴」というペナルティが発生することになります。特に、固定資産税の増額については、最大6倍となる場合もあるのでしっかりとした対応が求められます。
固定資産税の増額
特定空家に指定された後に自治体から改善の勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、最大6倍になる場合があります。
過料の課徴
特定空家に指定された後に自治体から改善の命令を受けたが、それに従わなかった場合、最大50万円以下の過料が科せられる可能性があります。
本来の固定資産税の計算式は、「固定資産税=課税標準額×1.4%」となっていますが、住宅用の土地や建物についてはいくつかの特例で軽減されています。その特例の一つが「住宅用地の特例措置」で、所有している土地が自宅や賃貸アパートなど、住宅用の建物の敷地であるときは、面積に応じて課税標準額が小さくなります。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準額=固定資産税評価額の6分の1
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分) 課税標準額=固定資産税評価額の3分の1
特定空家は、固定資産税は軽減措置が一切受けられなくなるため課税標準額が6倍となり、そこに税率を乗ずるため納税金額が最大6倍となってしまうのです。
また、2023年度の法改正で「管理不全空家」も固定資産税の優遇措置について対象外となりましたので、このまま放置すれば「特定空家」になる恐れがある空き家についても、固定資産税が最大6倍になる可能性があるので注意が必要です。
「特定空家」の指定を避けるには
現状、空き家になっている場合は、次のような対策を行うことで「特定空家」に認定されるリスクが大幅軽減されます。
1.住む人を探す
所有者が自ら住むことができれば一番良いですが、難しい場合は、家族や親族で空き家に住める人がいないかを確認してみましょう。人が住んでいれば空き家の傷みの具合もかなり違ってきます。
2.リフォームして賃貸物件にする
空き家をリフォームして、賃貸物件として貸し出し、賃料収入を得るのも一つの活用方法です。リフォームしない代わりに安価で貸し出し、賃借人が自由にリフォーム・リノベーションできるようにすれば、低コストの対策となります。
3.土地活用を考える
建物を解体し、駐車場として利用する方法もありますが、建物がなくなると「小規模住宅用地の軽減措置」の対象外となり固定資産税の値上がりリスクがありますので注意が必要です。
賃貸アパート等に建て替える方法もありますが、賃料収入で建築コストの返済が可能か厳密な判断が求められます。
4.売却する
特定空家のリスクを避けるには、「不動産売却」が最も有効な方法です。不動産所有には様々なコストが発生し、空き家期間が長くなれば長くなるほど建物の傷み・劣化だけでなく、売却時の査定額にも大きく影響しますので、居住予定がない場合には、早目の処分も検討してみましょう。
相続物件として不動産を引き継いだ場合、空き家になってしまう可能性が高くなりますので、不動産会社に相談し、早めの空き家対策をおすすめします。
京都市左京区・北区の中古マンション・新築一戸建て情報は「京都洛北不動産」
京都市全域・左京区・北区の売却査定・買取査定・不動産売却は「京都洛北不動産売却ネット」