住まいのランニングコストに直結!火災保険の値上げと契約可能年数の上限短縮について

不動産売却コラム

マイホーム所有者が加入する「火災保険」が、2024年後半に改訂される見通しとなりました。2022年10月には、最長10年だった契約可能年数が最大5年に変更されており、今後は更に厳しい値上げの波が押し寄せてくる状況です。

住まいのランニングコストとなる火災保険の現状と今後の見通しについて、見ていきたいと思います。

火災保険とは

火災保険とは、火災や自然災害などによる建物や家財の損害を補償する保険で、具体的には、以下のような損害が補償対象となります。

  • 火災: ボヤや延焼、失火などによって建物や家財が損害を受けた場合
  • 落雷: 落雷で建物や家財が損害を受けた場合
  • 破裂・爆発: ガス漏れなどの原因で爆発が起きて建物が損壊・倒壊したり、家財が壊れたりして損害を受けた場合
  • 風・雹・雪災: 台風や竜巻、雹(ひょう)、大雪・雪崩などの自然災害によって建物や家財が損害を受けた場合
  • 水災: 台風や豪雨による洪水、高潮、土砂崩れなどで建物や家財が損害を受けた場合
  • 水漏れ: 水道や排水管のトラブルで住宅内に水濡れが発生した場合
  • 外部からの物体の落下・飛来・衝突: 建物の外から何かがぶつかり、建物や家財が損害を受けた場合
  • 盗難: 強盗・窃盗によって建物が損害を受けたり、家財が盗難されたりした場合
  • 騒擾(そうじょう): 騒擾(集団行動に伴う暴力行為や破壊行為)によって損害を受けた場合
  • 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など): 日常生活中に起きた突発的な事故で、建物や家財が壊れてしまった場合

ただし、地震や噴火、津波による損害や、それを原因とする火災の場合は、通常の火災保険だけでは補償されません。これらに備えるのであれば、別途、地震保険などへの加入が必要となります。

また、火災保険の補償対象は建物と家財の2つに分けられ、それぞれ別々に契約することが可能です。具体的な補償内容や範囲は保険会社や保険商品によって異なりますので、契約前に詳しく確認することが重要です。

損害保険業界を取り巻く厳しい環境と火災保険の実質負担増について

近年の異常気象により、ゲリラ豪雨や大型台風による被害が拡大しています。これにより、損害保険業界の経営環境は厳しさを増しており、2018年度に支払われた国内大手の損害保険料の合計は1兆5千億円以上にものぼりました。これは東日本大震災時をはるかに上回る金額で、過去最大となっています。

こうした想定を上回る規模の災害多発により、損害保険会社の収支が著しく悪化していることが、火災保険を値上げする大きな要因となっているようです。

2024年後半に火災保険料の値上げ見通し

損害保険会社の火災保険料率は、損害保険料率算出機構(以下、損保料率機構)が提示する「参考純率」に影響を受けています。使用義務のない参考数値ということですが、損害保険会社は参考純率をそのまま使用したり、修正して使用したりするなど、実際の火災保険料率に与える影響は少なくありません。

2023年6月には、この「参考純率」が過去最大となる13.0%(全国平均)もの引き上げとなり、これを受けて、2024年秋に火災保険料が1割超上がる見込みとなっています。

損害保険各社は自動車保険の保険料も値上げする見込みで、家計の負担がますます増えることになりそうです。

水災リスクを地域別に細分化

従来、水災補償の保険料は全国一律でしたが、今後は水災リスクを地域別に5段階に細分化することになりました。ハザードマップを見て分かる通り、地域によって水災のリスクは大きく異なっていることから、公平負担の観点から改訂に踏み切ったようです。

具体的には、市区町村別に、保険料の安い「1等地」から保険料の高い「5等地」に細分化され、保険料負担として約1.2倍の差が生じることになります。

水災リスクの高いエリアにお住まいの方にとっては、実質値上げということになり、今後の物件価格にも影響を与えることになりそうです。

長期契約割引の改訂

火災保険の契約可能年数についても、2021年6月に、最長10年から最長5年に短縮されました。火災保険料は、1年払いよりも、長期一括払いする方が安くなる仕組み(長期契約割引)が採用されています。
従来は、10年分一括払いで15.0%以上の長期割引を受けることができましたが、今後は最長5年分の一括払いとなり、割引率も10%程度に引き下げられるようです。

長期契約割引が見直されることで、10年単位で考えたときには実質値上げとなってしまいます。

火災保険とセットで加入出来る家財保険についても、「自己負担額」アップによる実質値上げが発生しており、マイホームを所有する際のランニングコストが年々大きくなっています。近い将来に住み替えを考えている方は、まずは、火災保険の残存期間を確認し、具体的な住み替え計画について、できるだけ早めに準備していくことをおすすめいたします。

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