管理費滞納中でもマンションは売却可能?管理費・修繕積立金の滞納問題について

不動産売却コラム

マンションの場合、住宅ローン支払いのほかに、管理費、修繕積立金の支払いが必要となります。それ以外にも、駐車場使用料、駐輪場使用料、専用庭使用料、ルーフバルコニー使用料などの負担が発生することがあります。

これら毎月の負担となる、管理費・修繕積立金などのマンション維持費を滞納したら、いったいどうなるのでしょうか?また、滞納中にマンションを売却することは可能なのでしょうか?

今回は、最近増えている管理費・修繕積立金の滞納問題について、考えていきたいと思います。

マンション管理費とは

マンションの管理費とは、共用部分の維持・管理に使われる費用のことです。具体的には、マンションのエントランス、廊下、階段、エレベーターなどの共用部分や駐車場などを点検・清掃する際にかかる費用、管理組合の運営に関する費用が管理費に含まれます。

一般的に、管理費はマンションのオーナーが負担し、一旦はマンション管理会社に支払われることになります。管理会社は、日々の管理業務の内容に応じて、預かった管理費を清掃代、人件費、点検費などに使用することになります。

国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、分譲マンションの管理費の平均相場は217円/㎡ です。ただし、マンションの規模や提供するサービス内容により、管理費は異なる場合がありますので、比較する際は注意が必要です。

マンション修繕積立金とは

修繕積立金とは、分譲マンションの共用部分(外壁、エントランス、エレベーターなど)の修繕・維持管理を行うために、入居者(区分所有者)全員が負担する積立金のことを指します。修繕積立金は、以下のような目的で使用されます。

〇 定期的に行われる大規模修繕工事:
マンションではおよそ12~15年位を1区切りとして、大規模修繕工事が行われます。

〇 事故や災害の際の突発的な修繕工事:
台風・地震・津波などの自然災害により、マンションに被害が生じた際に修繕工事が発生します。

〇 マンションの共用施設の改善や改修など:
駐車場や駐車場の増設・移設や、集合ポストの新規取り替えなど、入居者の生活の質の向上のための改修工事が該当します。

修繕積立金の金額は、一般的に国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」に基づき、分譲事業者が作成する「長期修繕計画」によって決定されます。長期修繕計画は一度作成したら終わりではなく、建物の状態、収支の状況など応じて定期的に見直すことが大切です。

管理費・修繕積立金の滞納問題

管理費・修繕積立金を長期にわたって滞納する人が出てくると、マンションの維持管理に支障がでてくることになり、将来的には資産価値の下落という大きな問題につながることも懸念されます。

実際に、管理費・修繕積立金の滞納はレアケースではなく、「平成30年度マンション総合調査結果(国土交通省)」によると、管理費等の滞納問題が発生していないマンションは全体の62.7%に留まり、全戸数の10%以上が滞納しているというマンションも全体の0.2%という割合で存在しているようです。

管理費・修繕積立金の滞納者が増えるのは、経済不況や雇用状況の悪化が大きく影響していることは間違いありませんが、管理組合からの督促が緩いという事情も関係しているように思われます。

住宅ローンの場合は、1度でも滞納すると金融機関から厳しい督促の連絡が入りますが、管理費・修繕積立金を滞納しても管理組合からすぐに連絡が入るというケースは稀です。少子高齢化の影響もあり、管理費・修繕積立金の滞納問題は大きな社会問題になることも予想されています。

管理費・修繕積立金を滞納するとどうなるのか?

では、実際にマンションの管理費・修繕積立金を滞納すると、どうなるのでしょうか?一般的なケースを想定した場合、次のような流れとなります。

  1. 管理会社から滞納者への連絡
  2. 理事会での報告・対応協議
  3. 管理組合から滞納者への督促
  4. 滞納長期化の場合は、内容証明等での支払い請求
  5. 管理総会での報告
  6. 代理人弁護士の選任・訴訟の提起
  7. 債務名義の取得および競売申し立て

滞納発生から法的措置に至るまでに、管理組合内で様々な話し合いが必要となり、問題解決には時間がかかります。

滞納した場合の最終的な請求額は、滞納額に加えて、遅延損害金、訴訟や競売に要した費用も上乗せされるため、支払い額は膨れ上がります。仮に管理費・修繕積立金を滞納する事態に追い込まれたら、早めにマンション売却を検討することが必要となるでしょう。

管理費・修繕積立金を滞納したままで売却できるの?

管理費等を滞納している区分所有者が、滞納を解消することなく、売却をすることはできるのでしょうか。

区分所有法第8条では『前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる』とされており、管理費や修繕積立金の滞納分を債務承継する形での売却は可能です。

管理費・修繕積立金を滞納している物件を購入した新たな所有者には、前所有者が滞納した管理費等の滞納を支払う義務がありますが、一般的な仲介取引となります。

滞納があるからといって売れない訳ではありませんが、値引き要因になることは意識するほうが良さそうです。可能な限り、滞納に至るまでに売却手続きを進める方が得策ですので、支払いに心配がある方は、早めに不動産会社に相談することをおすすめいたします。

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