確定申告でマイホームの売却損を取り戻そう!居住用財産の譲渡損に関する損益通算と繰越控除について

不動産売却コラム

家族構成の変化や転勤、介護など様々な事情で居住用財産であるマイホームを売却しなければならないときがあります。
高値で売却できて利益が出るケースは問題ありませんが、想定外の金額でしか売却できず、売却損が発生するケースも考えられます。

通常、不動産を売却した際の損失は、他の所得(給与所得や不動産所得など)との損益通算が認められません。
しかし、一定の条件を満たす場合に限り、居住用財産の譲渡損失を他の所得と相殺することが認められています。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。

今回は、「居住用財産の譲渡損に関する損益通算と繰越控除」について見ていきましょう。

譲渡所得について

譲渡所得とは、不動産を売却した際に得た利益のことを指します。具体的には、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得となります。この譲渡所得に対して課税されるため、売却を検討する際には事前に計算しておくことが重要です。

取得費とは、購入時の価格や仲介手数料、登録免許税、取得税、住宅ローンの利息、購入後のリフォーム費などの費用を含みます。譲渡費用には、不動産業者に支払う仲介手数料、売買契約書の印紙税、測量費などが含まれます。売却時にこうした費用をしっかり把握することで、正確な譲渡所得を計算することが可能になります。

譲渡所得がプラスになった時には、所得税・復興特別所得税・住民税が課税されますが、マイナスになった場合は「譲渡損失」が発生したことになり、課税はされません。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について

住宅ローンが残っているマイホームを売却し、その売却価額が住宅ローンの残高を下回る場合、一定の要件を満たせば、発生した譲渡損失を損益通算(売却した年の給与所得や事業所得などと相殺して所得税や住民税を減額すること)することができます。さらに、損益通算しきれなかった損失は翌年以降最大3年間繰り越して控除することが可能です。

この特例を「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言い、主な適用要件は下記の通りです。

  • 売却する資産が居住用であり、現に住んでいる、または過去3年以内に住んでいた家屋であること
  • 売却する資産の所有期間が売却年の1月1日現在で5年を超えていること
  • 売却時点で、償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
  • マイホームの譲渡価額が住宅ローンの残高を下回っていること

また、以下の場合には特例の適用が認められません。

  • 親族や特別な関係のある者に対して売却した場合
  • 売却年の前年または前々年に、3,000万円特別控除などの他の譲渡所得の特例を適用している場合
  • 売却年またはその前年以前3年内に、他のマイホームの譲渡損失に関する特例を適用している場合
  • 繰越控除を受ける年度の合計所得金額が3,000万円を超える場合(ただし、損益通算自体には所得制限なし)

適用を受けるためには、確定申告が必要で、申告の際には、売買契約書、登記事項証明書、住宅ローンの残高証明書などの書類を添付する必要があります。
また、繰越控除を適用する場合は、損益通算を受けた年の翌年以降も連続して確定申告を行う必要があります。

詳細は国税庁のHPをご参照ください。
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホーム(旧居宅)を売却し、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が発生することがあります。この場合、一定の要件を満たせば、譲渡損失を給与所得や事業所得などの他の所得と損益通算することが可能です。さらに、控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以降3年間にわたって繰越控除することができます。

この特例を適用するための主な条件は以下のとおりです。

【旧居宅(譲渡資産)の要件】

  • 現に住んでいる家屋、または過去3年以内に住んでいた家屋であること
  • 売却時点で所有期間が5年を超えていること
  • 国内にある不動産であること
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること

【新居宅(買換資産)の要件】

  • 旧居宅の譲渡年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得すること
  • 床面積が50平方メートル以上であること
  • 取得した年の翌年12月31日までに居住の用に供すること
  • 取得した年の12月31日時点で償還期間10年以上の住宅ローンを有すること

また、以下のケースでは適用されません。

【特例の適用除外】

  • 親族や特別な関係者に売却した場合
  • 過去3年以内に他のマイホーム譲渡損失に関する特例を適用した場合
  • 旧居宅の敷地の面積が500平方メートルを超える場合
  • 繰越控除を受ける年の12月31日時点で新居宅の住宅ローンがない場合
  • 繰越控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円を超える場合(ただし損益通算には所得制限なし)

こちらの特例も適用を受けるためには、確定申告が必要です。申告の際には、売買契約書、登記事項証明書、住宅ローンの残高証明書などの書類を添付しなければなりません。また、繰越控除を適用する場合は、損益通算を受けた年の翌年以降も連続して確定申告を行う必要があります。

詳細は国税庁のHPをご参照ください。
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm

居住用財産の譲渡損の損益通算と繰越控除は、うまく活用すれば大きな節税効果が期待できる制度です。住宅の売却を検討している方は、この制度をしっかり理解し、適用要件を満たすかどうかを確認したうえで、税負担の軽減を図るようにしましょう。
詳細な適用要件については、税務署や税理士に相談しながら進めることをおすすめします。

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