住宅ローンの残債を上手に減らして賢く売却!「繰り上げ返済」の活用について

不動産売却コラム

マイホーム購入時に35年間(最近では50年ローンもあり)の長期住宅ローンを組み、元利均等返済を選択することが一般的になっていることもあり、いざ売却という際に、残債の大きさに驚かれるケースが少なくありません。

元利均等返済は「毎月の返済額が一定」というメリットがありますが、「返済初期は利息の割合が高く、元本の減りが遅い」ため、注意が必要です。

今回は、余計な利息を払わず借り入れ元本を減らすことができる「繰り上げ返済」について見ていきたいと思います。繰り上げ返済を上手に活用することで、マイホーム売却もスムーズに進めることができます。

繰り上げ返済とは

繰り上げ返済とは、住宅ローンなどの借入金を予定よりも早く返済することを指します。通常の毎月の返済額に加えて、追加で返済を行うことで、元金を早く減らすことができます。

住宅金融支援機構の調査では、9割超の人が「25年以下」で完済しているという結果が出ており、多くの方が「繰り上げ返済」を活用し、「長く借りて短く返す」という選択をしていることがわかっています。

繰り上げ返済の種類

繰り上げ返済には以下の2つの方法があり、「一部繰り上げ返済」には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の選択肢があります。

〇 全額繰り上げ返済
借入金の全額を一括で返済する方法です。これにより、利息の支払いを大幅に減らすことができます。

〇 一部繰り上げ返済
借入金の一部を追加で返済する方法です。これにより、元金が減少し、将来の利息の支払いが減ります。

  • 「返済期間短縮型」: 毎月の返済額は変えずに、返済期間を短縮する方法です。
  • 「返済額軽減型」: 返済期間は変えずに、毎月の返済額を減らす方法です。

繰り上げ返済のメリット・デメリット

繰り上げ返済を行うことで、元本部分を大幅に減らすことができるため、支払い利息を減らしたり、返済期間を短縮したりすることができます。

一方で、手元資金を活用した投資機会を奪うことにもなりますので、家計の状況や将来の資金計画を考慮し、慎重に判断することが重要です。

〇 メリット

  • 利息の軽減:元金が早く減るため、支払う利息の総額が減ります。
  • 返済期間の短縮:返済期間短縮型を選択すると、ローンの返済期間を短縮できます。

〇 デメリット

  • 手元資金の減少:繰り上げ返済を行うと、手元の資金が減少するため、他の投資や緊急時の資金が不足する可能性があります。
  • 手数料の発生: 一部の金融機関では、繰り上げ返済に手数料がかかる場合があります。

「返済額軽減型」と「期間短縮型」の比較

繰り上げ返済には、完済予定日が前倒しになる「期間短縮型」と毎月の返済額が安くなる「返済額軽減型」の二つのタイプがあります。
教育費が重なる時期などでは、「返済額軽減型」の方が家計は楽になるので良さそうに見えますが、実際に、効果の違いはあるのでしょうか。

教育費が重なる時期などでは、「返済額軽減型」の方が家計は楽になるので良さそうに見えますが、実際に、効果の違いはあるのでしょうか。

3,000万円を返済期間35年、金利1.69%(元利均等、ボーナス払いなし)で借り入れ、5年後(60ヵ月目)に300万円を繰り上げ返済した場合を考えてみましょう。

毎月の返済額は94,672円、300万円の繰り上げ返済を行った5年後(60ヵ月目)の残債は約2,372万円になります。

5年後(60ヵ月目)に300万円の繰り上げ返済を行うことで、「期間短縮型」では返済期間が35年(420ヵ月)から30年10ヵ月(370ヵ月)と4年2ヵ月短縮され、総返済額は約3,976万円から約3,796万円となり、利息分の約180万円が軽減されることになります。

一方、「返済額軽減型」では毎月返済額が94,672円→84,043円との約1万円の減額となり、総返済額は約3,976万円から約3,893万円の軽減にとどまります。総返済額で比較すると「期間短縮型」の方がよりお得ということになります。

複数住宅ローンを組んでいる場合には「より金利が高い方」「借入金額が高い方」「返済期間が長い方」を優先して繰り上げ返済したほうが効果的です。

● 参考サイト
高精度計算サイト「Keisan」

繰り上げ返済しやすいローン商品について

繰り上げ返済を重要視するならば、金融機関ごとの「手数料」と「自動繰り上げ返済」の二つをチェックしておきましょう。最近ではネット経由で手続きする場合、手数料は無料となるケースがほとんどです。たまに窓口では手数料がかかるケース、一括で全額繰り上げ返済する際には手数料がかかるケースがありますのでご注意ください。

また繰り上げ返済を自動的にしてくれるサービスも始まっています。三井住友信託銀行の「自動返済」サービスは、毎月の返済日に口座にあらかじめ指定した金額以上の残高があると、その余剰分を自動的に繰り上げ返済へ充ててくれます。手数料も無料で、毎回の手続きも不要です。

新生銀行の「自動繰上返済(スマート返済)」では、あらかじめ指定した預金残高を1万円以上上回った際に、上回った金額を1万円以上1円単位で自動的に毎日繰り上げ返済してくれます。もちろん手数料も無料です。

繰り上げ返済サービスを上手に活用すれば、住宅ローン残債を減らすことができ、マイホームの売却・買い替えをスムーズに進めることが可能です。将来のマイホーム売却に備えて、繰り上げ返済を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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