不動産を売却したとき、売却代金がそのまま手元資金として確保できる訳ではありません。税金、登記費用、仲介手数料などの諸費用が発生するので、売却代金から諸費用を引いた金額が手元に残る金額ということになります。
では、不動産を売却する際には、どのくらいの諸費用が必要になるのでしょうか?特に買い替えの場合は、新しい物件の購入予算に影響を与えることになりますので、どのような費用が、どのくらい必要かを事前に把握することが重要になります。
不動産売却時の諸費用は6種類
不動産売却時の諸費用は、主に下記の6種類が考えられます。
「その他費用」のように、売却不動産の状況によっては不要のものもありますので、項目ごとに詳しく見ていきたいと思います。
- 印紙税
- 住宅ローン一括返済費用
- 抵当権抹消登記費用
- 仲介手数料
- 売却益に関する税金(譲渡所得税・住民税・復興特別所得税)
- その他費用(リフォーム費用、クリーニング費用、解体費用、引越費用など)
印紙税
不動産売買契約書には、売買金額に応じた収入印紙を貼る必要があり、この収入印紙を購入するための金額が印紙税となります。
収入印紙については郵便局等で購入し、売買契約書に貼った後、印鑑で割印することで納税したとみなされます。
収入印紙を貼っていないと、過怠税として印紙税額の3倍が課されることになりますので、十分にご注意ください。
2014年4月1日から2030年3月31日までに作成された不動産売買契約書に対しては軽減税率の適用を受けることができます。
軽減税率後の印紙税については、以下の通りです。
- 10万円を超え、50万円以下のもの:200円
- 50万円を超え、100万円以下のもの:500円
- 100万円を超え、500万円以下のもの:1,000円
- 500万円を超え、1,000万円以下のもの:5,000円
- 1,000万円を超え、5,000万円以下のもの:1万円
- 5,000万円を超え、1億円以下のもの:3万円
- 1億円を超え、5億円以下のもの:6万円
- 5億円を超え、10億円以下のもの:16万円
- 10億円を超え、50億円以下のもの:32万円
- 50億円を超えるもの:48万円
住宅ローン一括返済費用
売却対象となる不動産の住宅ローンについては、売却時に一括返済する必要がありますが、
その際には、金融機関に一定の手数料を支払わなければなりません。
繰り上げ返済の手数料は金融機関ごとに異なり、「窓口で行う」「電話で行う」「ネット経由で行う」などの方法によっても異なります。
一般的に「窓口で行う」よりも、「ネット経由で行う」方が、手数料が安くなる傾向にあります。事前に確認しておきましょう。
抵当権抹消登記費用
売却物件のローン返済が終了していない場合、対象となる不動産には抵当権が設定されていますので、売却時には抵当権抹消登記費用が必要となります。
抵当権抹消登記は自分で行うこともできますが、一定の専門知識と、必要書類の作成、法務局への提出など煩雑な作業が必要になることから、司法書士に依頼するのが通常の流れとなります。
抵当権抹消登記費用には、登録を抹消するための「登録免許税」と必要書類作成に係る「司法書士報酬」が含まれます。
住所や氏名の変更があった場合は、住民票や戸籍謄本などの変更証明書類を取得するための実費および変更した所有者事項に関する登記が必要となるため、司法書士報酬や登録免許税も大きくなります。
仲介手数料
不動産売却に関する諸費用の中で、最も大きなウエイトを占めるのが「仲介手数料」です。
不動産を売却する際には、不動産会社に売却業務を依頼することが一般的で、依頼を受けた不動産会社は、インターネットやチラシによる広告宣伝活動や物件調査、書類作成等を行うことになります。
これらの業務活動に対して支払う費用が「仲介手数料」ということになりますが、重要なポイントは、仲介手数料はあくまでも成功報酬であり、売却を依頼したにもかかわらず、売買契約が成立しなかった場合には発生しないという点です。
ただし、仲介手数料は「通常業務に対して支払う費用」ですので、不動産管理業務や特別な広告宣伝などを依頼した際は、別途費用として請求されることがありますので、十分に確認してください。
それでは、仲介手数料はどの程度の金額になるのでしょうか?
国土交通省は、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」として、仲介手数料の上限額を規定しています。
以下の簡易的な計算式で確認してみましょう。
- 売買価格が200万円以下 (売買価格×5%)+消費税
- 売買価格が200万円超~400万円以下 (売買価格×4%+2万円)+消費税
- 売買価格が400万円以上 (売買価格×3%+6万円)+消費税
販売価格が3,000万円の場合だと、(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105万6000円となり、この金額が仲介手数料の法定上限額となります。
売却益に関する税金(譲渡所得税・住民税・復興特別所得税)
不動産売却時に売却益が発生した場合は、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税を確定申告時に支払う必要があります。
売却益が発生しない場合や売却損が発生する場合には、譲渡所得税は0円となり申告は不要です。※売却益とは、仲介手数料、印紙税、登記費用、リフォーム費用、不動産購入費用などを差し引いて残った利益を指す。
また、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税については、不動産の所有期間に応じて「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分類され、税率が異なります。
さらに、居住用の資産の売却の場合は、3,000万円の特別控除が利用できるなど、税率が軽減される様々な特例がありますので、早めの相談をお勧めいたします。
短期譲渡所得(不動産所有期間5年以下の場合)の税率
譲渡所得税 30%
住民税 9%
復興特別所得税 (基準所得税額の2.1%) 0.63%
合計 39.63%
長期譲渡所得(不動産所有期間5年超の場合)の税率
譲渡所得税 15%
住民税 5%
復興特別所得税(基準所得税額の2.1%) 0.315%
合計 20.315%
その他費用(リフォーム、ハウスクリーニング、解体、引越などの費用)
売却物件の状況によっては、リフォームやハウスクリーニングを行った方が高く売れる場合がありますし、更地売却の場合には建物の解体費用、土地境界を確定するための測量費用などが必要になってきます。
このような費用は、売却物件の状況によって異なるため、実施の有無を含め、事前打ち合わせが必要になります。検討時間を十分に取ることができれば、条件の良い方法を選択することもできますので、できるだけ早めにご相談ください。
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